サウジアラビアの動向が焦点に
EIAは7日、「今年の世界の原油需要の伸びは日量92万バレル増にとどまる」との予測を示した。4月の予測は同95万バレル増だった。足元の米国のガソリンとディーゼルの需要はコロナ禍前の水準を下回っている。
次に中東情勢だが、イスラエルとハマスの間の停戦協議は大詰めを迎えている。バーンズ米中央情報局(CIA)長官が8日にネタニエフ首相と会談するなど、予断を許さない状況が続いている。
不透明な情勢が続く中、筆者が注目しているのはサウジアラビアを巡る情勢だ。
5月2日付ロイターは、「米国とサウジアラビアの間の安全保障協定に関する合意は非常に近い」と報じた。米国がサウジアラビア防衛を正式に保証するとともに、民生用原子力技術をサウジアラビアに提供するというのが主な内容だ。
米国の狙いは、これをテコに頓挫していたイスラエルとサウジアラビアの国交正常化交渉を再び軌道に乗せることだ。
だが、この動きはハマスばかりか、イランにとっても座視できない動きだ。イスラエルとサウジアラビアが国交を正常化すれば、イランが中東地域において不利な状況に置かれてしまうからだ。
危機感を覚えるイランが、サウジアラビアと国境を接するイエメンの山岳地域の地下に武器工場を建設しているとの情報が流れている。
イランの支援を受けるイエメンのフーシ派は4日、「東地中海を航行する船舶に対しても攻撃を仕掛ける可能性がある」と警告を発している。
さらに不気味なのは、湾岸産油国でも「イスラム抵抗運動」が活発化しつつあることだ。