人間の判断を介在させない攻撃が可能に

 LAWSはLethal Autonomous Weapons Systemsの略で、日本語では「自律型致死兵器システム」と呼ばれます。「Lethal Weapon」(リーサル・ウェポン)という文字の通り、「死に至らせるための兵器」を指します。

 敵の認知や攻撃の判断など膨大な情報処理をAIが主体的に行うことで、兵器が「自律」的に相手を「致死」させるかどうかを判断するのです。したがって、LAWSは兵器単体ではなく、人間の判断を介在させない攻撃を可能にするシステム全体を指します。

ロボットによる戦争が現実のものになる?(写真:Mykola Holyutyak/Shutterstock)

 完全なLAWSはまだ完成していないと言われていますが、実戦で使用されたのではないかとの疑いが浮上したことはあります。国連安全保障理事会に提出された軍事専門家らの報告書によると、リビアで内戦が続いていた2020年3月、リビア暫定政権側がトルコ企業の無人ドローンを使って敵対組織を攻撃したとされています。

 ドローンの使用はその時点でも珍しくありませんでした。しかし、このときのドローンは地上の操縦者とつながっておらず、敵の認知から追跡・攻撃までのすべてをドローン搭載のAIが判断した可能性があると報告されました。

 報告が事実だったとすれば、“空飛ぶ殺人ロボット”が4年前に登場していたことになります。