「殺人ロボット、完成前に禁止を」

 これを機に各国の学者や研究者らが相次いでLAWSへの懸念を表明するようになります。2012年11月には国際的なNGO「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」が「失われつつある人間性:殺人ロボットに反対する根拠」と題する報告書を公表し、同時に「殺人ロボット、完成前に禁止を」という声明も発表しました。

 そのなかで、ヒューマン・ライツ・ウォッチは「完全自律型兵器は一般市民の殺害に関して、合法・違法を判断する人間の能力を本質的に欠いている。加えて、この手の兵器がもたらす危害について人間の責任を問うのが困難であり、国際法違反行為を抑止する法の力を弱める危険がある」と強調しました。

 戦争や紛争は本来あってはならないものですが、国際社会はせめて戦闘にもルールを設けて惨禍を少しでも減らそうと努力してきました。捕虜や負傷兵、一般市民らは戦時下でも保護するよう規定したジュネーブ条約(1949年)はその代表例です。

 ほかにも核兵器禁止条約や地雷禁止条約などがあります。実効性は必ずしも十分ではないにせよ、こうした国際的な取り決めが人類を破滅から救ってきた側面も否定できません。

 ところが、攻撃を自ら判断するLAWSには、こうした法的・道徳的・倫理的な判断が期待できないのです。