LAWS規制に反対・棄権した国は?

 国連のグテレス事務総長らの働きかけにより、LAWS規制の動きは本格化しています。昨年12月末には、国連総会で「LAWSが戦争で使用されれば、民間人の犠牲が深刻化する恐れがある」「LAWSは世界の安全保障に脅威を与える懸念があり、対応を急がねばならない」という趣旨の決議案が152カ国という圧倒的多数で採択されました。

 LAWSに関する国連総会決議はこれが初めてで、今年秋の国連総会では具体的な規制案が議題になる見通しです。

2023年の国連総会におけるLAWSに関する決議案に反対・棄権した国(出所:国連の資料を基にフロントラインプレス作成)
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 また、国連決議を受けて2024年3月からは、特定通常兵器使用禁止制限条約(CCW)の枠内で、LAWSに関する政府専門家会合がスイスのジュネーブで始まりました。席上、国連の軍縮部門のトップである中満泉・事務次長は「機械が自律的に人間を標的にして殺傷することは、われわれの道徳上、あってはならないことだ」と述べ、国際社会での共通ルールづくりに強い意欲を示しました。

 こうした動きは今後、どのような形で実を結ぶのでしょうか。実は、152カ国という圧倒的多数でLAWS規制の決議案を国連総会で採択した際、ロシアとインド、ベラルーシ、マリの4カ国が反対し、中国やイスラエル、イラン、北朝鮮など11カ国が棄権しています。そうした国々を巻き込みつつ、どのような規制をつくりあげていくのか、目の離せない展開が続きそうです。

フロントラインプレス
「誰も知らない世界を 誰もが知る世界に」を掲げる取材記者グループ(代表=高田昌幸・東京都市大学メディア情報学部教授)。2019年に合同会社を設立し、正式に発足。調査報道や手触り感のあるルポを軸に、新しいかたちでニュースを世に送り出す。取材記者や写真家、研究者ら約30人が参加。調査報道については主に「スローニュース」で、ルポや深掘り記事は主に「Yahoo!ニュース オリジナル特集」で発表。その他、東洋経済オンラインなど国内主要メディアでも記事を発表している。