選挙が終わった現在も果物や野菜などの食料価格の高騰は止まっていない。ウォン安ドル高や原油高によって輸入原材料価格がさらに上がれば、いくぶんは落ち着きを取り戻しだした消費者物価は、再び上昇気流に乗り始めるだろう。

GDPでインドネシアに追い越されるとの予測

 一方、総選挙で圧倒的な議席を獲得した共に民主党や祖国(チョグク)革新党は、物価高を口実に「1人当たり25万ウォンの生活支援金」を全国民に交付する法案を打ち出している。成立すれば、韓国の物価上昇がさらに進むのは確実視されているが、総選挙で民主党のこの公約が有権者に歓迎されたのも事実だ。

 景気低迷にウォン安ドル高が重なったことで、韓国銀行とIMFなどが集計した韓国の2023年名目GDPは1兆7128億ドルで、世界14位へ下落した。これは2011年以降最も低い順位だが、今後は韓国の順位がもっと落とすとの観測も出ている。IMFは最近、2029年にはインドネシアが韓国を追い越すと予想した。そうなれば、韓国のGDPは世界16位にまで下がる。

 文在寅政権時代の2020年、韓国はGDP規模で世界10位に上がり、文在寅政権と共に民主党を中心に「目覚めてみたら先進国」という自画自賛が飛び交った。逆に、尹錫悦政権に入ってからは「目覚めてみたら後進国」という自嘲的フレーズが流行している。

 総選挙の惨敗で窮地に追い込まれた尹錫悦政権にとっては、最近のウォン安ドル高と物価高を是正することが何より優先すべき経済政策となっている。

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