紙はゴミとして捨てる際に「燃えるごみ」とは別に「古紙」として回収される地域が多い。通常、古紙はリサイクルされて再生紙として利用される。しかし、実はリサイクルできないタイプの紙があるのは意外に知られていない。リサイクルできない紙がたった1枚混入しただけでも、トン単位で古紙が無駄になってしまうという例もある。リサイクルできる紙とできない紙はどのように見分け、分別できるのだろうか。
(杉原健治:フリーライター)
SNSでも話題になったリサイクルできない紙
SNSなどで「これは知らなかった!」と話題になっているのが、「昇華転写紙」だ。この紙には、昇華性のインクが使用されている。昇華性のインクとは、熱で気化して色素が転写するインクだ。洋服や布などの素材に文字や絵柄を印刷する際に使用されており、手芸用品としても流通している。
その他にも、実はカバンや靴などを購入した際の詰物として「使用済みの昇華転写紙」が使われていることが多い。使用済みでもインクは多少残っており、常温でも気化する。そのため古紙に混入すると、再生紙として製品化された紙の表面に数カ月後、インクがカビのように浮き出てきてしまうことがある。
古紙再生促進センターによると、A4サイズの「昇華性転写紙」が1枚混入しただけでも、約100トンの損紙が出てしまうほどの影響があるという*1。そのため、分別の際は特に気をつけなければならない。
*1:使用済み昇華転写紙についてのお願い(古紙再生促進センター)
点字用紙に使われる「感熱性発泡紙」
点字盤などで点字を打つために使用される点字用紙も、分別の際には注意が必要だ。点字用紙には、主に「感熱性発泡紙」が用いられている。「感熱性発泡紙」は熱で膨らむ性質を持つ。そのため古紙に混ざってしまうと、紙を再生する工程で紙の表面にデコボコが現れてしまう。
紙にデコボコがあるものは「感熱性発泡紙」の可能性が高いため、判断が難しい場合は“燃えるごみ”として出すのが無難だろう。