2008年、米国のリーマン・ショック(2008年9月15日に起きた米投資銀行リーマン・ブラザーズの経営破綻を機に、世界的な金融危機と不況に発展した現象)の影響でグローバル金融危機が広がった2009年3月1日にも、ウォンの対ドル為替レートが1570ウォンまで急騰したが、政府当局の積極的な介入で1600ウォン台は突破できなかった。

 現在の異常なドル高現象は、韓国人にとっては、08年の国際金融危機事態や「国家不渡りの日」として記憶されているIMF事態を連想させている。

原料高で輸出産業も打撃

 ただ、多くの専門家たちは最近の為替レート急騰は米国連邦準備制度理事会(FRB)による高金利長期化と中東不安が重なった全世界的な「キングドル」(米ドル超強勢)現象にともなうものだとし、過去のような金融危機の前兆とは断定できないという立場を示している。実際、米国のブルームバーグの集計によると、約150の世界通貨のうちおよそ3分の2がドルに対する劣勢を見せている。

 ただその中でも、今年に入ってドルに対する自国通貨の価値が最も下落したのは日本で、10%も下落した。韓国も年初対比7%も下がり、日本とともにドル高で最も苦しむ国の一つとして挙げられている。

 ドル高は貿易中心の韓国経済に多大な影響を及ぼす。輸出企業は為替変動による価格競争力アップが期待できるが、資源が貧弱な韓国は原材料輸入の比重が大きいだけに輸出企業もその影響を免れない。また、米国現地への投資が大幅に増えたSKハイニックスやLGソリューションなどの半導体や二次電池産業の企業などは、ドル高の影響で利益が減りかねない。