5月3日時点でも記録的なウォン安ドル高水準が続いている(写真:AP/アフロ)

 日本では下げ止まりが見えない円安に戦々恐々とする人が増えているようだが、円とのカップリングが深化している韓国のウォン相場も、円と同様に記録的な超下落を示している。

IMF危機直後の水準

 4月29日、円ドル相場が1ドル=160円台に達すると、韓国の外国為替市場ではウォンの対ドルの為替レートが一時1400ウォンを突破し、1年6カ月ぶりの最安値を記録した。経済専門家の間ではウォンの為替レートが1400ウォンを突破し1600ウォンまでドル高が進むとの見通しも出ており、目下、韓国経済はこのウォン安ドル高に加えて原油高、物価高の「三重苦」に襲われている。

 国際経済分野におけるトップクラスのシンクタンク、米国ピーターソン国際経済研究所(PIIE)のアダム・ポーゼン所長は、4月30日に韓国・ソウルで開催された経済セミナー「揺れ動く世界経済、緊急診断」に参加し、「ウォン・ドルの為替レートが1600ウォン台まで上がる可能性がある」と警告した。

 その根拠としてポーゼン所長は「2025年に米国の通貨緊縮サイクルが再開され、ドルに追加的な上昇圧力が加わるだろう」という展望を提示した。この日の討論に参加した韓国経済研究院のチョ・ギョンヨプ博士も「通貨価値は経済力を代弁するものだが、我が国のファンダメンタルがどれほど脆弱なのかが分かる。為替レートがどれだけ上がるかが重要だが、1600ウォンまでいく可能性があるというのは非常に脅威になる」と憂慮した。

 ポーゼン所長が予測するようにウォンの対ドル為替レートが1600ウォンまで急騰すれば、これはIMF危機直後の98年以後26年ぶりの記録だ。