物価上昇で国民の不満が充満
さらに深刻なのは、輸入物価の上昇で韓国の物価上昇圧力がさらに高まり、国民生活にさらなる負担が加わりかねない点だ。韓国の物価上昇率は今年1月に2.8%を記録し、2、3月は連続して3.1%まであがった。4月は2.9%と、やっと3%未満へ落ちたが、家庭の食卓に上る農畜水産物の価格は4月にも10%以上急騰している。国民が肌で感じる物価上昇率は政府の統計をはるかに上回る水準になっている。
この異常な物価急騰は4月10日に行われた総選挙でも「経済無能な尹錫悦政権に対する審判」世論につながった。総選挙で与党は、「庶民経済のために奔走する尹錫悦大統領」を演出しようとしたが、皮肉にもこれが逆風を巻き起こす結果となった。
選挙を控えて尹大統領は「物価点検」という名目で農協が運営しているスーパーを訪ねたのだ。そのスーパーで「長ネギ1束で875ウォン」という値札が貼られているのを見た尹大統領は「合理的な価格」と発言したが、これが国民の逆鱗に触れ大きな非難を呼び起こしたのだ。当時、ネギ1束の価格は4000ウォンを超えていたが、実は農協スーパー側が大統領訪問に備えて緊急セールを実施していたのだ。
これが尹大統領は国民生活に直結する物価上昇を全く認識できていないと国民の目に映り、そこを野党は集中的に争点にした結果、ネット上では「長ネギミーム」という政権を嘲弄するミームが流行するなど、選挙世論に大きな悪影響を及ぼすこととなった。