(フォトグラファー:橋本 昇)
突如、姿を消した愛娘
1977年11月15日、新潟市に住む一人の少女が忽然と姿を消した。横田めぐみさん、当時13歳。学校の部活帰りに姿を消したのだ。
事故なのか、事件に巻き込まれたのか、両親の悲痛な思いは想像しても胸が痛む。警察は大規模な捜索を行ったが、遺留品の一つも発見されることはなかった。
そして、娘の突然の不在という事実を抱えたまま、横田家の時計は進んでいった。
その間、娘はどこかで生きているのではないか……という一縷の望みを頼りに、父親の滋さんと母親の早紀江さんは必死に情報を探した。そして、少しでも情報があると各地に飛んで行った。
しかし、めぐみさんの消息は依然としてつかめなかった。心の穴が埋まらないままに、5年、10年、と祈ることしかできない時間が過ぎていった。
めぐみさんについての驚くべき情報が横田家に伝えられたのは、失踪から19年が経過した1997年の年明けのことだった。めぐみさんは北朝鮮工作員によって拉致され、海を隔てた北朝鮮で暮らしていた。これは脱北した元工作員の証言から判明したのだが、このニュースには日本中が驚いた。