吉川:橋のアーチ部分は英虞湾の真珠をイメージして、少しピンクがかった白色です。

(写真:Yama/PIXTA)(写真:Yama/PIXTA)

――本当に美しい橋ですね。確かに、アーチ部分と桁の間にケーブルが斜めに張られているニールセン形式ですね。

(写真:ヘ○レ/PIXTA)(写真:ヘ○レ/PIXTA)

ミニ知識
志摩大橋の2本のアーチ間は、上にいくほど狭まっている。まるでバスケットの取っ手のように見えることから、バスケットハンドル形式と呼ばれている。空の上からぐいっとつかむイメージだ。

なぜ橋の設計が変更されたのか

――今回のドラマの重要なポイントの一つが、狩山部長が会社の重役たちを相手に提案した龍神大橋の設計変更のシーンです。ただ、この会議では専門用語が飛び交い、一般の視聴者にはわかりにくい部分がありました。狩山部長の提案は具体的にどういったものだったのでしょう?

吉川:彼は「コストを抑えつつ、ケーブルの一部を鋼材に置き換えた形で設計を変更します」と訴えています。橋の上部構造を指す「橋体(きょうたい)」の挙動に関しては「3次元解析済み」というセリフからも、設計変更による構造上の問題はないという強い自負を感じますね。

 吊ケーブルのうち、アーチの中央部分にあるものをV字型の鋼材に変更することで、コストや工期がどう変わるのかまではわかりませんが、少なくとも再開発地域のシンボルになると彼は考えているようです。

 会議に向かう直前に彼が言った「毎日現場で拾い集める夢で、橋はできあがっていく」ということからも、“夢”の象徴としての龍神大橋をより高みに上げたかったのかもしれません。