テレビ朝日のドラマ「Believe―君にかける橋―」が、2024年4月25日にスタートした。橋づくりに心血をそそぐ主人公が、手掛けた橋が崩落した責任を問われ収監される。背景に渦巻く陰謀や主人公を取り巻く人間模様を織り込み、先の見えない展開が大きな話題になっている。
ドラマで重要なカギとなる「龍神大橋」は、どんな橋でどのようにして事故が起こったのか。「魅せる土木」を提唱し、Webサイト「土木ウォッチング」やFacebookページ「Discover Doboku」を運営する吉川弘道氏(東京都市大学名誉教授)とともに、土木の視点からドラマを見ていく。それにより今後ドラマがより楽しめるようになるだろう。
(牧村あきこ:土木フォトライター)
――今回のドラマ、木村拓哉さん演じる大手ゼネコン土木設計部部長の狩山陸(かりやまりく)が主人公ということで、先生が運営するFacebookページ「Discover Doboku」でも放送前から話題になっていました。土木の世界が中心となるドラマですが、初回(4月25日放送)をご覧になっていかがでしたか。
吉川弘道氏(以下、吉川):ニールセンローゼ形式の橋が落ちるシーンがよくできていますね(あってはいけないのですが)。吊ケーブルが連鎖崩壊するシーンが凄まじく、息を飲む20秒でした。“ローゼ”はアーチと吊材を使って桁(通常、補剛桁と呼ばれる)を支える形式の一つで、そのうち吊ケーブルを斜めに張ったものが“ニールセンローゼ”です。
――橋が崩壊していくシーンは、ドラマとわかっていても心拍数が上がりましたが、実在する橋をCG加工したものなのでしょうか? 東京都江戸川区の葛西に架設する橋という設定でしたが、どうも周辺の景色が都内には見えなくて。
吉川:ドラマで登場する龍神大橋は、三重県志摩市にある志摩大橋、通称志摩パールブリッジが撮影に使われたようです。英虞湾(あごわん)に面する国道260号に架設された橋です。
――なんと!三重県の橋だったのですね。海の色や周囲の山々の景色など、納得がいきました。