AIの台頭でなくなるかもしれない仕事として挙げられるコピーライター。BMW、KDDI、富士フイルムなどを担当し、40年にわたりコピーライターとして活動してきた中村ブラウン氏が初めてChatGPTを使ってみた感想は「ふざけるなよ!」という憤りだった。
広告・宣伝、特にコピーライティングを考えるときに最も重要かつ時間と労力をかける「ターゲット分析」を、ChatGPTがものの数分で的確に行ったことへのショックもあった。だが、使いこなすにつれて「まだChatGPTができていない点」にも気づかされたという。ChatGPTがたどり着けない「人の心を動かす」コピーワークを生み出す手法とは何か。(JBpress編集部)
※この記事は、中村ブラウン氏の『ChatGPT 売れる文章術』(三笠書房)を一部抜粋・編集したものです。
人の心を動かすキャッチコピーとは
(中村ブラウン:広告クリエイター)
ChatGPTを使えば、誰でも満足度(完成度)70%の「キャッチコピーの基本形」を作ることはできます。しかし、その上の+30%を目指すには、それなりの工夫が必要です。
そもそもキャッチコピーとは、「先を読みたくなるようにさせる」という役割を持っています。つまり、優れたキャッチコピーとは単に意味が通じるだけでなく、先を読みたくなるものでなければいけません。
ChatGPTで制作した「キャッチコピーの基本形」は、はっきり言ってそこまでの力は持っていません。
では、先を読みたくさせるにはどうすればいいでしょうか? それは、読み手に「あなたにとって大事な話です」と感じさせ、心を動かし、感情的にさせることが重要なのです。
はっきり言って、そのようなキャッチコピーを作るのは、プロのコピーライターでも簡単ではありません。そこで、ChatGPTを使った実践の前に、まずは「人の心を動かすキャッチコピー」とはどのようなものかをご紹介します。
私がさまざまなコピーライティング本で学んできたことと、約40年にわたるコピーライターとしての経験を凝縮したものです。
わかりやすいように、「人の心を動かすキャッチコピー」を6つのカテゴリーで分類してみました。
【人の心を動かすキャッチコピー】
①驚かせる
②8つの欲を刺激する
③言葉尻をいじる
④なぜと思わせる
⑤納得させる
⑥共感させる
さっそく、一つずつ紹介していきましょう。