AIの台頭でなくなるかもしれない仕事として挙げられるコピーライター。BMW、KDDI、富士フイルムなどを担当し、40年にわたりコピーライターとして活動してきた中村ブラウン氏が初めてChatGPTを使ってみた感想は「ふざけるなよ!」という憤りだった。
広告・宣伝、特にコピーライティングを考えるときに最も重要かつ時間と労力をかける「ターゲット分析」を、ChatGPTがものの数分で的確に行ったことへのショックもあった。だが、使いこなすにつれて「まだChatGPTができていない点」にも気づかされたという。ChatGPTがたどり着けない「人の心を動かす」コピーワークを生み出す手法とは何か。(JBpress編集部)
※この記事は、中村ブラウン氏の『ChatGPT 売れる文章術』(三笠書房)を一部抜粋・編集したものです。
正反対の文字を並べるインパクト
(中村ブラウン:広告クリエイター)
この項目で紹介するテクニックは、ChatGPTのキャッチコピーをブラッシュアップする際に重宝すると思います。その大きな理由は、ChatGPTのコピーは説明的で面白みがないからです。
言葉尻をちょっと変えるだけで、キャッチコピーらしく変えることができるのです。
【短く言い切る】
例:「プール、冷えてます」
このキャッチコピーは「としまえん」のポスターに使われたもの。言いたいのは「暑い夏には、としまえんの冷たいプールへ」ということですが、それを「プール、冷えてます」と言い切ることで強いキャッチコピーになっています。
さらに言えば、居酒屋のポスターなどで普段目にする「ビール、冷えてます」を上手く関連づけているところも素晴らしいですね。
先ほども述べたようにChatGPTのコピーは説明的で長めの文章になるので、「短く言い切る」方法はブラッシュアップに相性がいいと思います。
【対義語】
例:「金持ち父さん貧乏父さん」
対義語とは意味が正反対の言葉。正反対の文字を並べると、インパクトが生まれます。それをキャッチコピーに使用するという考え方です。
この例の「金持ち父さん貧乏父さん」はベストセラー本として有名ですが、タイトルを見ただけで本の内容や、そこで書かれているものに興味が湧きます。
たとえば、「借金10億から、資産10億へ」「コソ泥が警察官になった」のように対義語を組み合わせるだけで、「どういうことなの?」と好奇心を抱かせることができるのです。