「スイーツたこ焼きを食べてみたいか?」という質問をChatGPTにしてみたところ……(写真:Koarakko/イメージマート)「スイーツたこ焼きを食べてみたいか?」という質問をChatGPTにしてみたところ……(写真:Koarakko/イメージマート)
  • 何かとコストのかかる市場調査。この部分に生成AIを活用してみたらどうなるのだろうか。そこで、「スイーツたこ焼きを食べてみたいか?」という質問に対して、50代男性と10代女性になったつもりで回答させたところ、興味深い結果が出た。
  • 海外の研究でも、LLM(大規模言語モデル)にさまざまな質問を投げかけたところ、LLMから返ってきた回答内容は、同じ内容を人間に対して行った場合の回答内容と、75~85%という高い割合で一致したという。
  • これからのマーケティング担当者に求められるのは、生成AIの活用を前提に、「どこで本物の人間から話を聞くか」ということを設計することかもしれない。

(小林 啓倫:経営コンサルタント)

市場調査のバーチャル消費者に生成AIを活用

 新しいヒット商品を生み出そうとしたら、市場調査は欠かすことのできないプロセスだ。もちろん、伝説的な米アップルのスティーブ・ジョブズのように、自らのセンスだけで革新的な製品を思いつく経営者も存在するが、そんな人物は一握り。たいていは市場や顧客の声に耳を傾けなければ、広く受け入れられるアイデアを具体化することは難しい。

 そこで企業は市場調査を行うわけだが、単に誰かに質問すればいいという話ではない。その目的と計画を明確にした上で、アンケートや聞き取り調査を設計し、こちらからの問いかけに対し率直に回答してくれる人々を集め、コミュニケーションする必要がある。

 このデータ収集のフェーズは想像以上にやっかいなもので、十分な検討の上に質問を構成することは言うまでもなく、参加者を集めるのにも手間暇がかかる。また、追加で話を聞きたい、質問の設計がイマイチだったので調査をやり直したいなど二度三度と繰り返されることもあり、もちろんその度に追加コストが発生する。

 そこでいま、興味深い試みが行われつつある。それは生成AIに、市場調査において質問に答える「バーチャルな消費者」になってもらうというアイデアだ。

 既にChatGPTなどの対話型生成AIを使っているので良くわかるという方も多いだろうが、こうした生成AIは、こちらからの問いかけに回答を返してくれるだけでなく、その際にさまざまな「役割」を演じさせることができる。

 たとえば、次ページのスクリーンショットは、ChatGPTに対して「たこ焼きに生クリームをかけた『スイーツたこ焼き』というものがあったら食べてみたいですか?」という質問を、2つのパターンで行ってみたものだ。