- 利用者が増加している「AIコンパニオン系」アプリ。出会い系アプリを使用している男性の5人に1人が、何らかのAIガールフレンドを利用しているという。
- 最近では、誰が何のために利用するのかは定かではないが、ユーザーを叱りつけるアプリまで登場している。
- だが、AIはそれっぽいことは言ってくれるが、そのやりとりが生身の人間との適切なコミュニケーションにつながるとは限らない。
(小林 啓倫:経営コンサルタント)
「AIガールフレンド」が流行の兆しを見せている。これは文字通り、AIがガールフレンドを演じてくれるというアプリケーションで、テキストだけのものから、リアルなCGのアバターを持つものまで、さまざまな種類が登場している。
特に近年、生成AIの性能が向上したことで、より本物の人間らしく受け答えしてくれるAIが登場。それにより、AIガールフレンドに分類されるアプリケーションの数も、それを利用するユーザーの数も爆発的に増加している。
ある調査によれば、出会い系アプリを使用している男性の5人に1人が、何らかのAIガールフレンドを利用しているそうだ。検索エンジンで1カ月間に「AIガールフレンド」というフレーズが入力された数も、2022年から23年にかけ、5倍以上に増加したそうである。
また、IT系ニュースサイト、VentureBeatはGoogle Playストアでダウンロードされたアプリケーションの中で、AIガールフレンドを含む「AIコンパニオン」系アプリケーションのダウンロード数が、2億2500万回に達したことを報じている。
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◎AI girlfriends are 7 times more popular than AI boyfriends(VentureBeat)
この中にはAIガールフレンドだけでなく、AIボーイフレンドや、どちらの人格も用意されているアプリケーションが含まれており、ユーザーがボーイフレンドとガールフレンドのどちらを求めているかは分からない。
ただ、文字通り「AI Girlfriend」というアプリのダウンロード数が約50万回だったのに対し、「AI Boyfriend」というアプリは約7万回で、7倍もの開きがあったそうだ。
こうしたAIガールフレンドの流行に、警鐘を鳴らす人も少なくない。
たとえば、多くのAIガールフレンド・アプリケーションでは、ユーザーが自分の好きなように性格や外見をカスタマイズできる機能が用意されているが、そうした「完璧なパートナー」を求める姿勢が、現実の女性に対する偏見や支配欲を醸成しかねないという指摘がある。