「紀州のドン・ファン」こと野崎幸助氏が2018年に自宅で死亡していた事件で殺人罪に問われている妻の須藤早貴被告の裁判で、12月12日、和歌山地裁は無罪を言い渡した。この記事では最後の証人尋問について報告する。(JBpress編集部)
注目の「最後の証人」は2人目の密売人
「紀州のドン・ファン」こと野崎幸助氏が2018年に自宅で死亡していた事件で殺人罪に問われている妻の須藤早貴被告の裁判員裁判が、9月12日から和歌山地裁で開かれている。すでに11月8日からは早貴被告に対する被告人質問が始まっているが、ここではその前の最後の証人尋問について報告したい。
裁判では検察側の証人として多くの人物が出廷した。野崎氏の経営する会社の従業員をはじめ、元妻Cさんや大阪の愛人「菜々ちゃん」(仮名)、「真美ちゃん」(同)、「ミス・ワールド」などで、その証言内容についてはJBpressで詳細にお伝えしてきた。11月7日の公判で登場するのは通算28人目となる証人で、最後の証人尋問だった。
誰が証人に誰が呼ばれているのか傍聴人には知らされていない。そのため取材する記者たちの間では「最後の証人は検察側の“隠し玉”的な人物なのではないか」という憶測も飛び交っていた。
そしてこの日、法廷に姿を現したのは、なんと腰縄に手錠姿の男性だった。手錠をしている意味についての説明はなく、拘留中なのか服役しているのかも分からない。男性――以後、この男性を「X」とする――は法廷で、自分の名前と年齢が29歳であることを明らかにし、覚醒剤の売人であると述べた。
早貴被告の一連の裁判では、すでに10月1日に覚醒剤の売人「Y」が出廷しているが、さらに別の売人が登場したことになる。
Yが出廷したときには証人席と傍聴席がパーテーションで仕切られており、傍聴人の位置からはYの姿形は分からないようになっていった。ただ、Yはかなり乱暴な言葉使いをしていたので、その証言にも妙なリアリティーがあったものだ。今回のXに対しては、そのような対応はなかった。