「覚醒剤」か「氷砂糖」か

 Yの証言によれば、2018年4月7日の夜7時ごろ、覚醒剤を購入したいという若い女性からのオーダーがあり、大阪市内に住んでいたYは「仲間」や知人女性ら4人で田辺市までブツを届けるため、自家用車を飛ばして深夜0時ごろに指定された場所まで行ったという。Xはその仲間ということになる。

愛犬イブと亡くなった野崎幸助氏、早貴被告(撮影:吉田 隆)
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 YやXの証言によれば、大阪から田辺市に車を飛ばしてやってきた売人一行は、日付が変わった8日午前0時すぎ、国道42号線沿いの、野崎氏の自宅からほどちかいコンビニに到着。車を降りたYは近くの路地で早貴被告と接触、そこで品物を手渡したという。

 ただし、Yは「覚醒剤を10万円ほどで」、Xは「氷砂糖を15万円で」取り引きしたという点が食い違っている。

 また、Xによると、この取り引きを仕切ったのはXであり、YはXの下に位置する存在だったという。Xは“ブツ”を用意したのも自分であるとした。

 さらにXは、取引現場で襲われる可能性も考慮し、念のため護身用にヌンチャクも用意していたことも法廷で明らかにした。実際の取り引きの際には、Yを早貴被告との品物の受け渡しに使い、自分は車の中で怪しい人間がいないのか周囲に注意を払っていたのだという。

 このあたりのことは他のメディアでも報道されているので、ご存じの読者も多いかもしれない。ただ筆者は、新聞やテレビが報じていないXの「ある証言」に驚いた。