正式には国内で導入に向けた議論はないが…

 経産省としては、スポーツベッティングを国内で導入するような議論はしていないが、研究会や会議の中では、民間の有識者から海外の事例や日本国内の課題・提言がなされているということになる。

 日本のスポーツ界ではすでに、スポーツ振興くじ(toto)が販売されており、売り上げからスポーツ振興の財源確保にあてられている。Jリーグが対象だったが、実施されない時期には欧州のリーグなども対象にして販売時期を通年に拡大。現在はプロバスケットボールのBリーグも対象に加わったほか、最高当選金も最大12億円まで引き上げられた。

 くじの売り上げは年間1000億円前後で推移し、2021年度の売り上げは過去最高の約1131億円。新国立競技場の整備費などにもあてがわれるほか、強化や振興、大会運営などで様々な助成金制度があり、スポーツ界の「打ち出の小槌」と呼ばれる。

 ただ、スポーツベッティングが合法化された場合には、次元が違う規模の市場になるとの試算がある。

 また、スポーツ界では、新たな財源が必要な状況がある。それが、2023年度から段階的にスタートした休日の部活動の地域移行だ。

 教員の働き方改革の一環で、部活動を学校から地域へ解放する大きな変革を迎えたが、地域クラブなどの指導者への報酬をどうするかは課題として残る。この財源に、スポーツベッティングの収益の一部をあてこめばいいという意見が一部である。