(勢古 浩爾:評論家、エッセイスト)
ここ2か月間、日本のテレビマスコミは大谷翔平のニュースで持ち切りだった。
ドジャースに決まるまでは、移籍先のチームをめぐって、この4チームが有力だ、いやあのチームが逆転するかもと大騒ぎをし、ドジャースに決まってからは、今度は巨額の契約額をめぐってまたひと騒ぎである。
ロサンゼルス・ドジャースとの契約額は10年総額で7億ドル(約1015億円)だという。この額は世界のスポーツ史上、最高額であるらしい。
しかし、そのニュースを伝える側も、それを受け取る一般の人間にとっても、10年1000憶円という数字がどれほどの額か、見当がついている人間はいない。ただただなんか知らないがすごいな、と驚いているだけである。
おそらくは大谷自身にとっても、なんの実感もない数字にちがいない。もともと一人の人間に支払われる額としては、バカげた数字なのだ。
単純に計算して、1年で約100憶円。月に約8.3億円、日に約2700万円である。これでも毎日2700万円の収入とは、まるで見当もつかないし、なんの実感もないのだ。
もっとも10年7億ドルの支払い方式は、このように決まったという。
年平均の年俸7000万ドル(約102億円)のうち、6800万ドル(約99億円)の支払いを10年先まで延期する。したがって来季から10年間の年俸は、200万ドル(約3億円)になるというのである。
年棒約3億円と、ここまで落としてもらえば、それでも実感はまるでないが、感覚的にはわかる。なにしろ宝くじが10億円の時代である。年に3億円という額は、月に2500万円、1日に82万円である。まあ、これでもわからんな。