その後、2球団の3Aチームに所属したのち、独立リーグのチームを経るなどしていたが、今年12月、サンフランシスコ・ジャイアンツとマイナー契約をした。来年の春季キャンプとオープン戦にはメジャー招待選手として参加するようである。

 メジャーリーグに渡った日本人選手で成功した選手といえば、野茂英雄、イチロー、田中将大、上原浩治、黒田博樹、松井秀喜、ダルビッシュ有らが挙げられる。あきらかに失敗した選手もいるが、それらの選手は早々に日本球界復帰を果たしている。

米独立リーグのスタテンアイランド・フェリーホークスでプレーする筒香嘉智(2023年8月3日、写真:時事通信社)米独立リーグのスタテンアイランド・フェリーホークスでプレーする筒香嘉智(2023年8月3日、写真:時事通信社)

 わたしは秋山翔吾が好きなのだが、かれは2020年シンシナティ・レッズに入団した。しかしさしもの日本球界屈指の打者も振るわず、身体の不調もあり、サンディエゴ・パドレスとマイナー契約をした。しかしそれでもメジャー復帰はならず、2022年6月広島カープに入団した。

 筒香の日本での実績を考えれば当然だろうが、かれにも日本球界からオファーが届いているようだ。古巣の横浜DeNAや、阿部慎之助新監督の巨人などが推測されている。しかし筒香はまったく日本復帰を考えていないのである。

心も体もバッティングも自然に戻った

「非常にうれしいことは確かなんですけど、僕の中では今、日本に帰るという選択肢はほぼないです。まだこっちで何もやりきれていない。何かを達成できるまで、ただやり続けるだけだと思いますし、可能性がある限り、自分から中途半端な形で投げ出して日本に帰る感覚はまったくないですね」(所属決まらず孤独でも…日本球界復帰は「ほぼない」 退団から1か月、筒香嘉智の今、Full-Count、2023.07.31)

 筒香は自分の考えをはっきり持っている男である。すべてやりきった、すべての可能性がなくなった、と自分で納得するまで、メジャーを目指すつもりである。目指すだけでなく、活躍できるまで納得しないだろう。

 それが叶わない場合、もしかしたら筒香はそのまま引退してしまうかもしれない。それだけの覚悟がありそうである。