- 違法賭博に関与し、大谷翔平選手の銀行口座から不正に送金したとして米捜査当局に訴追された元通訳・水原一平容疑者が4月12日、ロサンゼルスの連邦地裁に出廷した。
- 大谷選手からだまし取ったとされる額は1600万ドル(約24億5000万円)。捜査当局は大谷選手が「被害者」であると強調した。
- 大谷選手本人も明確に否定していたが、これまでメディアは取材が不十分なまま「憶測報道」を続けてきており、その無責任さは大谷選手に対する冒涜といえる。
(田中 充:尚美学園大学スポーツマネジメント学部准教授)
米大リーグ、ドジャースの大谷翔平選手の元通訳、水原一平容疑者が違法賭博に関与していたとされる問題について、事態が大きく動いている。アメリカの捜査当局は4月11日、1600万ドル(約24億5000万円)を不正に電子送金した銀行詐欺の疑いで水原氏を容疑者として訴追したと発表した。12日、水原容疑者はロサンゼルスの連邦地裁に出廷し、2万5000ドル(約383万円)の保証金を納めることなどを条件に保釈が認められた。
捜査当局は、大谷選手は水原容疑者による悪質な犯罪行為の「被害者だ」と強調した。だが、ここに至るまで、被害者であるはずの大谷選手に疑念を生じさせるような混乱を招いたメディアの“憶測報道”には、批判の矛先が向けられるべきだろう。
報道された訴追内容によれば、水原氏が2018年に米大リーグ、エンゼルスへ移籍した大谷選手の給与受け取り用の銀行口座の開設を手伝った。そして、21年9月に野球を除く違法なスポーツ賭博を始め、数ヶ月で多額な損失を抱えると、大谷選手の口座の連絡先を水原容疑者の電話番号とメールアドレスへ変更した。
その上で、大谷選手と偽って銀行に電話をかけ、違法賭博に関する送金を認めさせたとしており、こうした行為に関する録音も残っている。同時に、大谷選手が関与していたことを示す証拠はなかったという。
一連の問題は、捜査当局の訴追によって犯罪行為であることが明白となったと言えるだろう。この間、日本国内のメディアでどう報じられてきたかを紐解きたい。