米製薬大手イーライリリー、時価総額がテスラ超え

 株式市場で肥満症薬を手がける企業の存在感が急速に高まっています。米製薬大手のイーライリリーの株価はこの1年で2倍以上に上昇し、時価総額は7000億ドル超と米国株の時価総額ランキングではマイクロソフトや「GAFA」、エヌビディアに次いで8位に浮上。足元でも米電気自動車大手のテスラ(5500億ドル)を突き放しています。

 イーライリリーは1876年に米国インディアナ州で設立し、1923年には世界で初めてインスリンの大量生産を実現。糖尿病事業などを展開してきたほか、最近では早期アルツハイマー病治療薬「ドナネマブ」の開発も話題を呼んでいます。


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 イーライリリーの主力の肥満症薬「ゼプバウンド」は2023年11月に米食品医薬品局(FDA)で肥満症薬として正式に承認されました。ノボノルディスクの「ウゴービ」と同様に食欲を抑え、空腹を感じるまでの時間を長くする働きがあります。

 イーライリリーによると、肥満の患者2539人を対象とした「ゼプバウンド」の臨床試験で、食事療法や運動を組み合わせた72週間の治療の結果、15ミリグラムを投与し続けたグループでは平均21.8キログラムの減量効果がありました。

 イーライリリーは2024年1月に患者が直接購入できる独自のサイトを始めたほか、3月にはアマゾン・ドット・コムと提携し、肥満症薬を自宅に配達するサービスを始めるなど、米国内の需要に応えるための取り組みも強化しています。

 イーライリリーを巡っては、中外製薬が開発した肥満症薬候補「オルフォルグリプロン」の開発・販売権も2018年に取得しています。中外製薬側も、開発の進捗に応じたマイルストーン収入を、2023年末時点で最大3億9000万ドル受け取る権利を有すると明らかにしています。