コメント発表では終わらない大リーグ機構の「大谷翔平」追及、長期化か
コミッショナーは麻薬スキャンダルで辣腕振るったMLB歴30年の“鬼平”
2024.3.27(水)
高濱 賛
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胸をなで下ろすドジャース球団、ファンだが
問題は、すでに始まっているMLB調査部門はもとより、連邦捜査機関の捜査でこの大谷選手の言い分が立証されるかどうか、だ。
日本の国税庁にあたるIRS(米国内歳入庁)もFBI(米連邦捜査局)も、今後は、一人悪者にされた水原氏の言い分についてもさらに厳しく追及する構えだ。
大谷選手への事情聴取も行われる。
この問題を追ってきた米ジャーナリストH氏は、これですべてがクリアになったとは思っていない。
「水原は違法賭博の疑いで捜査を受けている賭博胴元(ブックメーカー)のマッシュ・ボイヤーと取引があり、大谷選手の口座から少なくとも450万ドル(約6億8000万円)が、8回から9回に分けて50万ドルずつ送金されていた」
「庶民感覚でも捜査当局の勘でも、なぜこれほどのカネが大谷選手の許可なく送金されていたのか、だ」
「これだけの巨額のカネが送金される際には銀行から本人に連絡が行くはずだ。これについても水原は大谷になりすましてOKを出していたのか」
「だとすれば、これほどの横領、詐欺、窃盗行為はない」
「FBIは当然逮捕するだろうし、検察は訴追し、裁判所は重罪で水原に罰金1万ドル、禁固刑10年を言い渡す可能性大だ」
そもそも大谷選手に対する疑惑は、ボイヤーの違法賭博を捜査していたIRSが「オオタニ」の名前を見つけ、FBI、カリフォルニア州司法当局、MLBに通報した。
ドジャースはこれを受けて、球団職員だった水原氏を即時解雇。大谷選手を守るために球団お抱えの弁護士数人からなる「危機管理タスクフォース」を編成して対応に当たってきた。
北米プロスポーツ界最高額を払って獲得した大谷選手が、シーズン開幕と同時に出場停止(あるいは永久追放)されたのでは目も当てられない。
だが、これでMLBが「大谷証言」を100%信用して即無罪放免にするのか、あるいはすでに精力的に動いている調査部門の徹底調査の結果を踏まえて結論を出すのか。まだ分からない。
これまで賭博容疑、麻薬容疑、暴力・レイプ容疑でMLBがどれだけ時間をかけて、対象がどんな著名な選手であろうと調査に容赦しなかった「過去」を知ると、今回もこれで幕引きとはいかないようだ。
(もっともMLBが調査中でも大谷選手がプレーすることに問題はないはずだ。訴追され、裁判が続いている前大統領でも大統領選に立候補できるお国柄である)