NYダウは最高値圏で推移している=2023年12月13日撮影(写真:ロイター/アフロ)

米国株式市場の代表的株価指数「ダウ」が2月下旬、3万9000ドルを突破し史上最高値を更新しました。この指数は「ニューヨーク・ダウ」とも呼ばれますが、どんな内容でどんな歴史を持っているのでしょうか。米国の株高が追い風となって日本の株価も史上最高値を更新する展開が続くこのタイミングで、「ダウ」をやさしく解説します。知っているようで意外と知らないかもしれません。

フロントラインプレス

(注:記事中の株価は3月1日現在)

わずか30社で構成も一般投資家の認知度・信頼度は抜群

 ダウとは「ダウ・ジョーンズ工業株価平均」(Dow Jones Industrial  Average)の略です。米国の代表的な企業30社の株価で構成され、「NYダウ」とも呼ばれます。プライム市場(旧東証1部)225社の株価で構成されている「日経平均」と比べると、「意外に少ない」「たった30社で米国を代表させていいのか」と感じる人がいるかもしれません。

 しかし、ダウは米国で最も長い歴史を持っています。米国経済の足取りを確かめ、先行きを占うものとして定評があり、とくに一般投資家の認知度や信頼度は他の米国株価指数を引き離しています。マーケット専門のメディアだけでなく、一般の報道機関もこの指標を広く報道します。

 ダウは、米国の有力新聞「ウォールストリート・ジャーナル」の発行元であり、経済データの提供や書籍出版で知られる企業「ダウ・ジョーンズ」(現S&Pダウ・ジョーンズ・インデックス)が1896年に12社の構成で始めた米国最古の株価指数です。

出所:ダウ・ジョーンズ社のHPなどからフロントラインプレス作成
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 Industrialを「工業」と和訳したため、物をつくる製造業や建設業がイメージされがちですが、実は当初から鉄道業を中心に工業以外の企業の方が多く、今では30社のうちのほとんどが「非工業」です。

 アメリカン・エクスプレス、ゴールドマン・サックス・グループ、ビザなどの金融業、IT関連のマイクロソフト、アップル、インテル。それにマクドナルド、コカ・コーラなど、まさに世界を代表する企業名が並びます。したがって、Industrialは「産業」と和訳した方が実状に近いかもしれません。