識者の下落予想外れ、ダウ史上最高値更新
日本株の値動きは米国市場と連動しています。市場関係者の間では、昔から「連れ高」「連れ安」と言われてきました。前日のダウが急騰・急落すれば、その数時間後に開かれる日本市場の日経平均が同じような方向に動くという意味です。実際、現在でもその傾向を示すことは珍しくありません。
また、ダウを構成する国際的企業が増産計画や好決算を発表してその株価が上がれば、日本含め世界に存在する関連企業や取引企業の株価も影響を受けます。業種が同じ別の企業も「連想買い」で上がる可能性があります。日本株への投資金額の6~8割を占めると言われる海外投資家も同様の考え方で行動に出ます。マネーは世界中を駆け巡っているのです。
世界の株価は、コロナショックによる暴落から一転し、空前の急騰劇を繰り広げてきました。ダウはコロナショックで付けた安値1万8213ドルから今年2月にはその2倍強となる3万9000ドル台を記録しています。
世界の多くの国と同様、米国もコロナ対策として、政策金利の引き下げや現金給付などの対策を講じました。その結果、株高とともに物価高が進行。これを抑えるため、2022年3月からは政策金利の大幅な引き上げに転じていました。
ところが、米国経済は予想以上に強く、景気の変化を約半年前に知らせる先行指標とされる株価指数のダウは下落どころか、史上最高の高値圏にあります。欧州株も好調です。
「相場は悲観の中に生まれ、懐疑の中で育ち、楽観の中で成熟し、幸福感の中で消えていく」とも言います。「2023年には起きる」と多くの関係者が口にしていたダウ暴落が来なかった今、果たして現在が「楽観」「幸福感」のどちらに位置するのか。ダウは今後も引き続き、関係者の注視を集め続けるでしょう。
フロントラインプレス
「誰も知らない世界を 誰もが知る世界に」を掲げる取材記者グループ(代表=高田昌幸・東京都市大学メディア情報学部教授)。2019年に合同会社を設立し、正式に発足。調査報道や手触り感のあるルポを軸に、新しいかたちでニュースを世に送り出す。取材記者や写真家、研究者ら約30人が参加。調査報道については主に「スローニュース」で、ルポや深掘り記事は主に「Yahoo!ニュース オリジナル特集」で発表。その他、東洋経済オンラインなど国内主要メディアでも記事を発表している。