日本各地でPFASの検出相次ぐ
日本各地の汚染は、具体的にどのようになっているのでしょうか。まずは近年、日本各地で検出されたPFASの状況を地図で見てみましょう。
この地図からも分かるように、大きく分けると、化学工場の周辺、在日米軍と自衛隊の基地周辺に広がっていることが分かります。
化学工場の関係で目立つのは、静岡市清水区にある三井・ケマーズフロロプロダクツの清水工場です。この工場はフッ素樹脂や特殊溶剤を製造していますが、かつては米化学グループ・デュポンが出資する三井・デュポンフロロケミカルの工場でした。
そのデュポン時代にPFASが使用されており、2008年当時、工場従業員の体内から高濃度のPFOA(PFASの一種)が検出されていたことが昨年発覚しました。当時のデータによると、その値は血しょう1ミリリットルあたり69〜8370ナノグラム。通常、1ミリリットルあたり20ナノグラムを超えると健康被害への懸念があるとされていますが、清水工場の従業員は最大でその400倍超のPFOAを体内に取り込んでいたのです。
しかも、そうした事実は調査報道専門サイトのスローニュースが昨年報じるまで、10年以上も隠されたままでした。
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諸永裕司のPFASウオッチ(スローニュース)
大阪府摂津市のダイキン工業淀川製作所周辺では、2022年、地下水から国の暫定目標値の420倍というPFOAが大阪府の調査で検出されています。この工場では、2012年にPFOAの使用を中止したそうですが、他の地点でも地下水から相次いでPFOAを検出。中止から10年以上が過ぎた現在になっても次々と検出が続いているのです。
自然界では分解されない「永遠の化学物質」の実態を見せつけるような出来事です。
もう1つ目立つのは「基地周辺」です。PFOAを含んだ泡消火剤を訓練で使用した際、大量のPFOAが外部の河川に漏れたり、地下に染み込んだりしたものと考えられています。
ただ、米軍は基地内の検査に協力的ではなく、漏出の状況についても日本側への詳しい説明を再三拒んでいます。また、航空自衛隊・各務原基地(岐阜県)の周辺でもこの物質が検出されていますが、自衛隊や岐阜県は地元に詳しい状況を説明していませんでした。
“軍事の秘密”に阻まれて、汚染の実態調査が進まない――。そんな状態が基地周辺では相次いでいるのです。