- スイスで開催されていた「ダボス会議」が19日に閉幕した。人工知能(AI)や地政学リスクなどが議論されるなか、インドからの参加者の発言に注目が集まった。
- インドは昨年、世界最大の人口となり、5月までに実施される総選挙ではモディ首相率いる与党が勝利するとみられ、経済にさらに追い風が吹くとの期待が高まる。
- 巨額の投資マネーがインドに向かおうとしているが、このところモディ政権は専制主義的傾向を強めており、投資熱に冷や水を浴びせかねない。(JBpress)
(藤 和彦:経済産業研究所コンサルティング・フェロー)
スイス東部のダボスで開催されていた世界経済フォーラムの年次総会(ダボス会議)が1月19日、閉幕した。今年も120の国と地域から約2800人の政財界のリーダーたちが集まり、活発な意見交換がなされたが、インドからの参加者の発言に注目が集まった感がある。昨年、人口が世界一となったインド経済がこのところ絶好調だからだ。
インド政府は5日「今年度の実質経済成長率は7.3%になる」との予測を示した。経済成長率は主要国の中で最も高い水準になる見込みだ。
インド政府は「これまで弱い」とされてきた製造業の強化を喫緊の課題に据え、海外からの投資を呼び込もうと躍起になっている。ダボス会議に出席したインドのバイシュナブ情報技術相は17日、ロイターのインタビューの中で「今後数年以内に年間の海外直接投資(FDI)を1000億ドルに拡大することを目指している」と述べた。
今年度上期のFDIは330億ドル、昨年度のFDIは710億ドルを記録している。1000億ドルという数字は、中国が過去10年以上にわたって毎年集めてきた海外資金に匹敵する。
「チャイナプラスワン」の流れが加速する中、インド政府は海外からの投資をテコに製造業分野での雇用拡大を狙う戦略だ。