「戦争」とは何かをいまの防衛省は本当に分かっているのだろうか

 2023年8月17日、防衛省は「認知領域を含む情報戦への対応」に関する考え方や今後の取り組みについて公表した。

 冒頭に次のような記述がある。

「近年、国際社会では、他国国内の混乱を生起することや、自国の評判を高め、他国の評判を貶めることなどを目的として、偽情報の拡散をはじめとする情報戦に重点が置かれています」

「わが国として、世論操作や偽情報の拡散を行うことは決してありませんが、他国による偽情報への対策など、情報戦対応を万全にする必要があります」

 筆者は、この記述の中の「わが国として、世論操作や偽情報の拡散を行うことは決してない」という文章に驚愕した。

「わが国として、他国の選挙に介入する目的で世論操作や偽情報の拡散を行うことは決してありません」と書いてあれば、理解できる。

「わが国として」と書かれているので、これは政府の方針と思われる。

 筆者は、これは、サイバー攻撃による改竄あるいは偽サイトへ誘導されたのではないかと思い、URLを確認した。

https://www.mod.go.jp/j/approach/defense/infowarfare/index.html

であるので防衛省のサイトに間違いなさそうである。

 防衛省・自衛隊は、曲がりなりにも軍隊である。決してNGOではない。孫子の兵法に「兵は詭道なり」という言葉がある。簡単に言えば「戦争は騙し合い」ということである。

 現代の日本は平和呆けのような状態であり、人を騙すのは道義にもとるとか倫理に反するなどの意見もある。

 しかし、命のやりとりをするのが戦場であり、戦場は平時の道義や倫理の枠の外にあると筆者は考えている。

 自衛隊が守らなければならないのは国際人道法である。

 すなわち、我に向かってくる敵は手加減せずに排撃するが、投降するために両手を挙げて塹壕から出てきた兵士は決して撃ってはいけないのである。