国連の緊急特別総会で演説するデニス・フランシス国連総会議長(国連のサイトより)

 2023年10月27日、国連は「平和のための結集」決議に基づく第10緊急特別会期を再開し、緊急特別総会を開催した。

 緊急特別会期の招集手続き等については、拙稿「国連安保理の常任理事国からロシアを排除する方法」(2023.10.6)を参照されたい。

 同総会に先立って、国連安保理は10月16日、人道的停戦や人道支援を主目的としたロシアとブラジルの2つの決議案の採決が行われた。

 ロシアは、ハマスを非難せずに即時停戦などを求める決議案を提出したが、ハマスを非難しないのはテロリスト擁護になるとして米国などが反対し、決議案は採択に必要な9理事国の賛成を得られず否決された。

(ロシア、中国、UAEなど5か国が賛成、米国、英国、フランス、日本の4か国が反対、残る6か国が棄権)

 ブラジルは、人質の解放や人道回廊の設置を求めるほか、国際人道法にのっとり民間人と人道要員の保護を求める決議案を提出した。

 15か国のうち日本やフランスなど12か国が賛成したものの、常任理事国の米国が拒否権を行使した。英国とロシアは棄権した。

 米国のリンダ・トマス=グリーンフィールド国連大使は「決議案でイスラエルの自衛権について言及がなかったことに失望した」と拒否権行使の理由を説明した。

 手詰まりの安保理を受け、アラブ諸国に加えてロシア、インドネシア、ベトナムなどの国々が、休会となっていた緊急特別総会の再開を総会議長に要請した。

 採決される決議案はアラブ諸国を代表してヨルダンが提出した。

 決議案は、休戦や人道回廊の設置に加え、パレスチナ自治区ガザ北部の住民や国連職員などに対して出した避難命令の撤回をイスラエルに求めるものであった。

 採決では、121か国が賛成、44か国が棄権、14か国反対の結果となった。ロシア、フランスを含む121か国が賛成した。反対は米国やイスラエルなど14か国だけだった。日本、英国、カナダなど44か国は棄権した。

 岸田文雄首相は10月30日の衆院予算委員会で、決議案を棄権した理由について「ハマスのテロ攻撃への強い非難がないなど、全体として内容面でバランスを欠いている」と説明した。

 さて、本稿では、イスラエルとハマスの軍事衝突の解決策について筆者の私見を述べて見たい。

 以下、初めに第10緊急特別会期の概要について述べ、次に日本の独自の中東政策について述べ、最後にイスラエルとハマスの軍事衝突の解決策について述べる。