グループのメンバーを選ぶ際のロジック

小菅:爆発的な人気を誇った、ローラースケートで有名な光GENJIというグループがありました。このグループは「光」と「GENJI」という2つのグループの合体によってできました。最初はうまくいっていたけれど、結果的に分裂してしまった。

 それ以降です。ジャニーさんはしばらく年齢差のあるメンバーでグループを構成するようになりました。TOKIO、V6などがこの例です。

 V6を結成した時には、ジャニーさんが「小菅さん、すごいのよ。今度のグループは年齢が上の3人と下の3人を組み合わせたの」と珍しく戦略を語りました。

 光GENJIでグループを組み合わせた実験を踏まえ、このあたりからグループ編成が変わってきたなと感じました。SMAPもグループ内にだいぶ年齢差があり、実はそれが後に解散した理由の一端でもあります。

 年齢差のあるメンバーでグループを組み立てる戦略を取り出した1つの理由は、手元に置いたジャニーズジュニアの数が増え過ぎてしまったという現実もありました。

 常に100人から200人くらいの男の子たちがいて、デビューを夢見ている。「おはようございます」なんて言いながら、彼らが毎日レッスンにやってくるので、さすがのジャニーさんも手に余るわけです。

 若者たちが溢れてくるから、少人数でゆっくり出していたら、みんなのデビューは間に合わない。そこで、年齢差をつけて6人くらいで出していけば、ヘンな言い方かもしれませんが、一気に何人も片付いていく。

──本の中で、ジャニー喜多川氏の「好みの基準」という5つの項目をあげられていました。しかし、実際にデビューした方を見ていると、必ずしも、この項目に当てはまらなさそうな人もいます。やはり、どこか実験的な意味も含めて、全体のバランスを考えてチームを構成していたのでしょうか。

【ジャニー喜多川氏の好みの基準】(小菅宏による分析)
①黒目勝ちの二重瞼
②肌がなめらかで色白
③頬が比較的に豊か
④唇が多少ぽってりしている
⑤歯が清潔で歯並びが整っている

小菅:そうだと思います。まず前提は、私が本に書いた5つの要素にしたがってグループの中心を決めていたのだと思います。たとえば、SMAPだと、まず森且行というプリンス的な存在を中心に据えた。ジャニーさんは、プリンス的な顔を好みました。

 次に、そのプリンスが持っていない面を考えてみる。たとえば、運動好きのスポーツマン、冗談を言う明るい性格、弟的なかわいらしさ、こういった要素を持つメンバーを周りに当てはめていく。SMAPを見て、それ以前からぼんやりと感じていた、ジャニーさんのグループ構成の特徴が私の中で見えてきました。

 チーム構成におけるジャニーさんの戦略や意図に合致しない限り、いくら顔が良くてもデビューすることはできません。

 メンバーの選定は、女の子のハートを射止めるための戦略。そのために、ジャニーさんは徹底して女の感性になる。もともと素でそういう側面があるわけですが、最初にプリンスで惹きつけて、それだけでは足りないものをチーム全体で提供できるようにメンバー構成を組み立てるのです。