「好きな子にしか一生懸命になれない」

小菅:こんな経験をしたのは、ジャニーズの部外者では私だけだと思います。

 ジャニーさんと知り合って1年くらいした頃のことです。昼間はジャニーズの所属タレントたちは学校などに行っており、暇になったジャニーさんに呼ばれました。

 当時の事務所には広い日本間があり、そこに段ボール箱が山積みにされていました。その中の箱の1つをジャニーさんが取り出して開けると、中から少年たちのガンマル(タレント志望者たちのプロフィール写真)が大量に出てきた。それぞれ裏には名前と連絡先が書いてある。1000枚くらいあったと思います。

「小菅さん、この中の写真を組み合わせてグループを作ってみて」と彼は言いました。素人だし、少年愛があるわけでもないけれど、私は5枚ほど美少年の写真を選びました。

 そうしたら、ジャニーさんはそれを見て「こんなのぜんぜんダメよ」と言い、自分で別の5人の写真を選んで組み合わせ「これだったらチームになる」と言いました(ジャニーさんはグループのことを「チーム」と呼びました)。

 その時、初めてジャニーズというものの神髄を見た気がしました。あの時のことは今でも鮮烈に覚えています。

 ジャニーさんは「僕は好きな子しか選べない」「好きな子にしか一生懸命になれない」と言っていました。また、ある時「僕が好きになったらどんな少年でもスターにしてみせる」と言ったこともありました。

ジャニー喜多川氏(写真:共同通信社)

──ジャニー喜多川氏と小菅さんが一緒に話をしている時に「あの子はいい」「あの子はダメ」なんて話をお二人ですることもあったのですか?

小菅:そういう話は絶対にしませんよ。彼は親しい間柄でも、ジュニアの印象や評価については口にしませんでした。私も「あの子は、実はバク転ができない」など、人のマイナスになることはあえて言いませんでした。誰が本当はバク転できないか知っていたけれど(笑)

──SMAPあたりから、ジャニー喜多川氏は、同じような年齢の若者だけではなく、いろんな年齢をチームにしてグループを構成し、自分が個人的に愛したジュニアばかりではなく、グループの特徴を重んじて、メンバー構成を考えるようになった、と書かれています。