居酒屋「仲本家」を訪問

 翌日14日の昼前、筆者はノーアポイントで居酒屋「仲本家」を訪れることにして、東急大井町線の緑が丘駅から東京工大のキャンパス脇の緩やかな坂を上って行った。

 居酒屋の前で店の外から声を掛けたものの、返事はなかった。だが、店には鍵はかけられていなかった。引き戸を開けて、大きな声をかけるも人の気配はない。もちろん店内にペットの糞尿の臭いもしなかった。

 店奥の階段を上がれば2階の寝室になることは知っていた。室内が週刊新潮に載っていた写真の通りなのかは気になったが、勝手に上がれば住居不法侵入という違法行為となるので、当然ながらそんなことはしなかった。

 30分ほど店先で時間を潰したが誰も来なかったので、諦めて都立大学駅近くの喫茶店に入って絵美に連絡を取った。

「え~っ、わざわざ来たの? あのねえ、今日は群馬の高崎のデパートで志村けんさんを偲ぶ催しがあるみたいで仲本さんはそれに行っているようよ」

 絵美も朝にやっと仲本のスケジュールが分かったそうだ。無駄骨だったが、コロナ禍で自宅に籠ってリモート仕事に終始していたこともあって、久しぶりの外出と長い散歩はいい気分転換になった。