仲本工事さん(写真:共同通信社)仲本工事さん(写真:共同通信社)

 昨年の10月19日夜22時過ぎ、ザ・ドリフターズのメンバー仲本工事さんが入院先の横浜市内の病院で息を引き取った。享年81歳であった。

 前日の18日朝9時ごろに横浜市保土ケ谷区にある交差点近くの道路を横断中、ワゴン車にはねられ頭部を強く打った仲本さんは、救急車で病院に搬送され手術を受けたものの、意識は戻らず、そのまま天国に旅立ってしまったのである。

 ただ、この交通事故には、そこに至るまでの“伏線”があった。それを理解しないと、その後に巻き起こった仲本さんの“妻“純歌さんへの大バッシングの経緯も分からなくなる可能性があるので、仲本さんの一周忌を機に、事故当時の状況と、それに伴う仲本さんの行動を振り返ってみたいと思う(以下、敬称略)。

第2回 苦悩の末に電話、週刊誌に「告白」した娘との会話
第3回 警察官まで駆け付けた!週刊誌記者との路上での口論
第4回 約束の時間に現れなかった仲本工事
第5回 仲本さんの死後も止まなかった純歌さんへのバッシング報道

突然の週刊誌報道

 昨年10月12日、「デイリー新潮」が一本の記事を配信した。仲本の妻の純歌が1年ほど前から目黒区内の自宅を出て横浜でカレー店を営み別居暮らしをしている、という主旨で、純歌は81歳になる仲本の世話をしておらず、掃除もせず洗濯も仲本に任せきり、放し飼い状態のペットは世話もキチンとされず、部屋は糞尿の臭いが充満するゴミ屋敷化している――ということまで書かれていた。しかも純歌と仲本は結婚式を挙げているものの入籍はしておらず、いわゆる“内縁の妻”とも伝えていた。

 翌日発売の「週刊新潮」には詳細な記事が掲載されているということで、筆者はすぐに週刊新潮を買い求めた。というのも、仲本夫妻が切り盛りする居酒屋には何度も行ったことがあり、2人とは知り合いだったからだ。

 週刊新潮10月20日号では5ページにわたる特集記事として掲載されており、そこには2人が経営する居酒屋「仲本家」内での2人の写真や、居酒屋隣にある純歌が経営するスナック「ピンクローズ」の店内写真、仲本たちの自宅となっている2階の散らかった写真などが載っている。

 広告にはこんな見出しが踊っている。

<娘が悲憤の訴え ドリフ「仲本工事」を虐げる27歳下「モンスター妻」>
<ゴミ屋敷に夫放置で監視カメラの老人虐待>
<犬・猫も置き去り・皮膚病のペット虐待>
<代金引換買い物魔 家賃一年滞納で火の車>

 記事冒頭のリード部分にはこう書かれている。

<「衛生面の良くない状態で父が犬や猫の世話を」―前妻の娘が悲憤するドリフターズの仲本工事の現在の暮らしぶりは想像を超えていた。犬猫と共に夫をゴミ屋敷に置き去りにした「モンスター妻」の所業には、「老人虐待」「ペット虐待」の声も上がって…>

 仲本夫妻はもともと居酒屋近くの賃貸マンションで暮らしていたが、そこが壊されるということで2年ほど前に居酒屋の2階に荷物を運びこみ暮らすようになった。それが「ゴミ屋敷」だと記事では指摘されていた。また2階の自宅部分の写真も掲載されている。見出しにも<娘が悲憤の訴え>とあったので、筆者はてっきり「仲本の娘から新潮に告白したのだろう」と思って読み進めた。