参議院議員・鈴木宗男氏の私設秘書として有名だった「ビッグ・ジョン」ことジョン・ムウェテ・ムルアカさんが8月30日、祖国に帰る飛行機内で急死した。もともと心臓に持病があり、ペースメーカーを装着していたという。機内で蘇生が試みられたが、そのまま帰らぬ身となってしまった。
遺体は日本に運ばれ、9月13日、世田谷区内の教会で葬儀が行われた。約200人もの参列者が、ムルアカさんとの別れを悲しんだ。
宗男氏の人柄に惚れて私設秘書に
ムルアカさんは1961年、ザイール(現コンゴ民主共和国)の首都レオポルドヴィル(旧キンシャサ)の出身。10人きょうだいの中の3番目の長男として生まれ育ち、地元の国立大学で電気通信工学を学んだ。卒業後は放送局に就職したものの、戦後復興を果たした日本に興味を抱き、85年に24歳で初来日を果たす。
日本では日本語学校に通いながら学費・生活費をアルバイトなどで賄い、苦学の末、87年に東京電機大学に入学。在学中から、ザイール共和国大統領府スペシャルアシスタントやザイール国営放送局日本代表に就任。さらに衆議院議員だった鈴木宗男氏の私設秘書も務めた。
東京電機大は1993年に卒業、そのまま同大学応用電子工学科研究生にもなった。その後、電気通信の博士の学位も取得し、現在は千葉科学大学危機管理学部特担教授や神奈川工科大学特任教授を務めていた。2005年には日本国籍を取得している。