ラグビーW杯1次リーグ ラグビーW杯フランス大会でイングランドに敗れ、ファンにあいさつする日本の姫野(右端)ら=9月17日(写真:共同通信社)

 9月23日の深夜、ラグビーW杯フランス大会の予選D組で注目すべきアルゼンチンとサモアが対決した。ご存じのように日本代表もこのD組。そして29日午前4時から日本が対戦するのが、サモアだ。

 アルゼンチンの世界ランクは9位で、サモアは12位、日本が13位となっている。ただ、ランクというのは一応の目安であって、このクラスのチームは対戦しないとどちらが勝つのか分からない。

 下馬評ではメキメキと力を蓄えてきているアルゼンチンの評価が高かったが、サモアもオーストリアで活躍するサモア出身の選手が母国に戻って代表選手になっているので、かつてのサモアとは違っているとの声もある。

 サモアについてさらに言えば、セイレラ・マプスアHCは日本のクボタスピアーズや釜石でプレーをした経験があり、統率の取れた日本チームを参考にし、そのチーム作りのノウハウをサモアに持ち込んでいるから侮れないという声もある。

 W杯グループステージで1勝1敗ともう負けは許されない日本は、過去にサモアとはW杯2大会で対戦し、どちらも勝利を収めているが、この新生サモア、そして最終戦で戦うアルゼンチンに勝たなければ予選突破はできない。

 その鍵を握る2チームの対戦だけに、日本が勝利するための「穴」を探しながら筆者も観戦した。

状態最悪のピッチで動きが早かったサモア

 この日は気温15度、風速5.6メートルで時折強い雨がピッチを濡らすコンディションであり、選手たちにとっては酷であった。

 試合は開始1分にサモアのFBがシンビンを取られる反則で10分間の退場を食らってしまう。一人少ないサモアはアルゼンチンの攻撃に耐えるものの、パスを回してゴールに迫ってくるアルゼンチンの波状攻撃に耐えられず、8分に14番のエミリアノ・ボフェリにトライを許してしまう。

 アルゼンチンのペナルティーキックを担当しているボフェリはハーフライン周辺からのコンバートキックもその後に成功させている。日本も自陣での反則があればボフェリにキックを決められてしまうと思ったほうがいい。それほどの要注意選手である。

 試合開始から20分過ぎまではサモアの選手たちの動きがとにかく速かった。それと比較してアルゼンチン選手たちは身体が重そうでキレがないのが目立った。また、サモアの選手の激しい運動量が長く続くことはなかった点は安堵の材料だった。