イングランドとの対戦後、ファンに拍手を送る姫野和樹(右端・写真:ロイター/アフロ)

 フランスで行われているラグビーW杯。日本代表はチリに勝った後、18日に強豪イングランドと対戦した。勝てば予選通過が確実視される大事な1戦であるが、日本は過去に一度もイングランドに勝ったことがないという難敵である。結果は12-34とノートライに抑えられた敗戦となったが、内容的には後半15分まで「もしかして勝てるかも」と期待させてくれたほどの大健闘であった。

スクラムは及第点、問題はラインアウト

 日本代表の何が良くて何が悪かったのか検証をしてみよう。

 試合開始早々、FBのセミシ・マシレワがインゴールでノックオンをしてしまいゴール前での敵ボールでのスクラムになってしまった。いきなりのピンチである。

 以前の記事でも指摘をしているが、スクラムで組み負けたり、反則を取られたりすると試合にならない。ラグビーという競技は強いチームが勝つことがほとんどであり、番狂わせは非常に少ない。基本となるスクラムで負けていてはまず勝負にならないのだ。

 注目すべき最初のスクラムは日本が押すことはできなかったが、相手のプレッシャーに耐えることができた。「これで今日は試合にはなる」と感じさせるプレーだった。

 イングランドは得意のキックを多用して陣地を取りにくる作戦に出てきた。これに対し、日本はスクラムハーフの流大にキックを任せる戦法を取る。流は国内リーグ戦でも普段からキックを多用することが多く、そのぶん相手選手からチャージされてボールを失ってしまうミスも少なくない。

 この日はそのようなミスは起きなかったが、イングランドのキックの方が距離を稼いでいるので日本は受け身での試合を進めざるを得なかった。