ドイツ代表との試合に臨む日本代表(写真:ムツ・カワモリ/アフロ)

「おいおい、話が違うじゃないか」

「これがあのW杯と同じチームなのか」

 ピッチにいるドイツの選手たちからはそんな声が聞こえてきそうな試合だった。

W杯カタール大会とは違った開始直後の立ち上がり

 9月9日(日本時間は10日午前3時45分)にドイツのヴォルフスブルクで日本代表対ドイツ代表の試合が行われた。

 昨年11月のカタールW杯、1-2で日本に逆転負けを喫したドイツ。今回の一戦は、「あれはたまたま負けたんだ」という言い訳を証明したいがためにドイツ側の要請で組まれた“リベンジマッチ”である。

 なにしろW杯で日本は、ドイツから25本の被シュートを受け、ボール支配率もドイツの65%に対して日本のそれは22%。大雑把にまとめれば、積極的な攻撃でゲームの主導権を握るドイツに対し、引いて引いて守り抜いた日本が、一瞬のスキを突いたカウンターで点を取り、なんとか勝利をもぎ取った――という内容だった。

 この日の試合もそのような展開から始まるのかと思いきや、日本チームはドイツに対して引くこともなく、実に堂々と立ち向かった。

「W杯では引いたけど、今日はガチンコだから。お前ら、俺たちを舐めているんじゃねえよ」

 日本選手の間からそんな声が聞こえてきそうなほどの気迫が感じられる立ち上がりだった。強豪ドイツを相手にこれほどの自信をもってゲームに臨む姿を見せられた時は、まさに「日本サッカーの歴史が変わった」と思う瞬間でもあった。世界屈指の強敵に対し、引かずに対峙できるチームが誕生したのだ。この立ち上がりだけで、この試合を見る価値があったと言ってもよかった。