まだ予選通過の可能性はある
不運な負け方だったが、これも勝負である。
それでも日本は初戦のチリ戦で勝利を収めているので、イングランドに敗れてもまだまだ予選通過の可能性が残っている。9月29日のサモア戦と10月8日のアルゼンチン戦に勝てば文句なく予選通過となる。予選プールDではイングランドに次ぐ強豪とされるアルゼンチン戦が最終戦になるので、そこが山場となる可能性がある。それに、チーム間で星の潰しあいになる場合もあるのでまだ目が離せない。
ここまで2試合を戦った日本代表のストロングポイントはスクラムの安定感だ。スクラムで崩される心配がないのは大きな武器になりえる。
ただし、スクラムは安定しているが、ラインアウトに安定感がないのが大きな課題である。イングランド戦ではスクラムは18回あったが、ラインアウトはそれよりも多い25回もあった。このうち日本ボールのラインアウトは12回。うち日本がコントロールできたのは8回に過ぎず、4回は敵ボールになってしまっている。ラインアウトからの展開ができないとサインプレーも使えなくなるし、武器を取り上げられたようなものだ。
ボールを投げ入れるのはフッカーの役割で坂手淳史や堀江翔太らベテランが担当しているが、選手たちとの息が合わない場面が目立った。何百回と練習を積んでいるはずなのに真っ直ぐ真ん中に投げ入れることができず、ノットストレートの反則を取られるというのは見ているファンもガッカリしてしまうだろう。
また、ラインアウトやスクラムからパスを回し、相手のDFを守りに専念させて体力を奪うような攻撃をここまで日本はなかなか見せることができない。波状攻撃の間に相手の穴を見つけていかないとトライに結び付けるのは難しい。もしかするとこれは戦略で、相手選手に絡まれることを防ぐ意味であえてキックを多用している可能性もあるが、キックすれば相手選手にボールをキャッチされてしまう可能性が高まるわけだから、ボールを保持するのが正当な攻撃スタイルであり、日本には展開ラグビーを見せて欲しい。