ラグビーW杯で初戦の相手チリに30点差をつけて勝利した日本代表(写真:志賀由佳/アフロ)

「ワールドカップは、祭りなのよ!」

 いよいよラグビーワールドカップが開幕した。

 日本代表はワールドカップ初戦のチリ戦に、42─12で快勝し、ボーナスポイントも含め、勝ち点5を獲得した。まだまだ険しい道のりが続くが、難しいとされるワールドカップ初戦をいい形で勝利できたことは素直に喜んでいいだろう。この勢いで次戦もいいゲームをして、日本のファンをさらに盛り上げてくれることを期待したい。

 かつてサッカー解説者のセルジオ越後氏は、サッカーワールドカップについて「ワールドカップはね、祭りなのよ」と語ったという。ラグビーワールドカップも、サッカーに負けず劣らず、お祭りの要素に満ちている。「踊る阿呆になんとやら」で、積極的に参加して盛り上がらなければ損だ。

 お祭りなので、とりあえずお酒でも飲みながら試合を見て盛り上がるのも楽しいのだが、それだけではもったいない。せっかくなら、ラグビーの試合の中身を見て盛り上がりたい。そのほうが4年に一度のこのお祭りをもっと楽しめるはずだ。

「でも、ラグビーってルールが難しいし、どうやって試合を見れば盛り上がれるのか分からない」という人も少なくない。そこでここでは、「にわかファン」の方々に向けて、試合のここをこんなふうに見ると、ラグビーという競技そのものがおもしろく見られるようになるという部分について紹介していきたいと思う。

 念のために言っておくと、今ここで使った「にわか」という言葉は、ジャパンラグビーアンバサダー2023の一人である糸井重里氏が使われているような「最近、ラグビーに興味を持った人」という意味であり、それ以上でもそれ以下でもない。

 ラグビーという競技が世間から何の関心も寄せてもらえなかった不遇の時代を長く知っている者としては、にわかファンとはなんとありがたい存在だろうと感じている。「にわか」という言葉は、使い方によってはその対象を蔑むニュアンスが伴うのだが、ここではそうした意味は一切ない。それどころか、「ラグビーファンになってくれてありがとう」と感謝の気持ちでいっぱいであることを再確認しておきたい。

 なお、にわかファンにもいろいろな人がいると思うが、今回は「細かい反則などはよく分からないが、ボールを前に投げてはいけないとか、倒れている選手はプレーできないといった基本ルールは知っている」といった方々を想定している。

写真:AP/アフロ