それでも日本はSOの松田力也がPGを全部決めて9-13の4点差で前半戦を終了する。イングランド選手が日本代表に対し、過度に警戒しているのが分かるような試合展開であった。
日本のゴール前での反則でもイングランドはタッチキックにしてそこからラインアウトにしてトライを狙いにいかず、PGを選択したのも日本を恐れていたことからであり、力の差が歴然であればタッチキックを選択していたはずだ。
ともあれ、前半を4点差で折り返したのだから、「これはひょっとして」という気持ちを日本のラグビーファンが持ったのは間違いないだろう。
悪夢の後半15分で試合は決まった
後半早々、日本はPGを獲得し、12-13の1点差にした。ますます日本にとって有利な展開となった。イングランドのFW選手たちの動きが鈍く、このままいけば体力を誇る日本が有利だとさえ思えた。
だが、後半15分に悪夢が襲った。日本陣営でイングランドはラインアウトでボールを取って攻撃に移った。二人目の選手が次にボールを回したときにボールがポンと大きく前に弾かれた。選手のほとんどがノックオンだと判断した。そしてプレーを止めてしまった。
このとき、レフェリーは「プレーオン」と叫んだらしい。だが、テレビ中継ではそのような声は当然拾われてはいない。ノックオンの笛も吹かれることもなかった。日本の選手の中に、ボールを拾ったイングランドのコートニー・ローズを止めにいこうとする選手はいなかった。ローズは「念のため」という感じで、ゆうゆうとボールをゴール下に置いた。これがイングランドのトライとなってしまった。呆気にとられた日本代表や他のイングランドの選手たちは棒立ち状態だった。