

これから時代に必要な「居場所としての書店」
安藤は20年以上前に出た『出版クラッシュ!?〜書店・出版社・取次 崩壊か再生か』(安藤哲也、小田光雄、永江朗の共著、編書房)という本の中で、こう話している。
“ベストセラーやマニュアル本しか買わない人たちを真っ当な読者に育てない限り、本の未来も書店の未来もないと思っています”
再び訪れたTAKIBIでは日曜日の朝10時から絵本の読み聞かせイベントが開かれていた。10人ほどの客の中には、はるばる江東区から子どもを連れてやってきたという女性もいた。「遠かったけれど、来てよかった」。そう話して、女性は帰っていったという。

TAKIBIの営業時間は朝9時からと早い。それは子育て中の人や高齢者が朝から出かけられる場所でありたいという思いからだ。
出版不況と言われた流れや、「本を殺す」仕組み自体には大きな変化はないかもしれない。しかし、安藤のような誰かにとって必要な居場所としての書店、そして思いがけない本に出合える書店は実はこの10年で続々と生まれている。
次回以降、そうした「独立系書店」が増えてきた背景について探っていきたい。