事件を教訓にメディアは変われるか

 一連のジャニーズ問題に関するBBCの報道は評価に値するが、そのBBCにもかつてサヴィルの性加害に薄々気づきながらも目をつぶった過去がある。海外メディアが優れていて、国内メディアが一律に「マスゴミ」と呼ばれるに値するとは思わない。

 BBCによるジャニーズ報道がサヴィル事件から教訓を得た結果であるならば、国内メディアも今回新たな教訓を得られたともいえる。ここからは、どれだけジャニーズ問題からメディア各社が学び、前進できるかという点に尽きるのではないか。 

 大切なのは、国内の出来事について、わざわざ外圧を用いて報じる必要がないよう、自社の取材力に自信をもって報道し続けることだ。そのために、ジャニー喜多川氏による性加害の噂と真剣に向き合わなかったような、大きな権力を有する取材対象への忖度体質に抜本的なメスを入れる必然性は、既に避けられない。 サヴィル事件においてBBCが行ったような独立審査を、メディアが各社内において実施し、公表するのも有効な手立てだろう。 

 どんな相手にも臆することなく、毅然と報道し続けられる体制を構築するために、メディアの側も今回の事件を契機に再出発をする覚悟が必要だ。

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