イメージ写真(写真:アフロ)

 創業社長のジャニー喜多川氏(2019年に87歳で死去)による性加害問題をはじめ、ジャニーズ事務所に関する諸問題は『週刊文春』以外ではほとんど報じられてこなかった。

 どうしてなのか。その背景で見逃せないのはジャニー氏の実姉で元名誉会長のメリー喜多川氏(2021年に93歳で死去)の強い政治力だ。

 ジャニーズ事務所は各民放と関係が極めて深いが、特に日本テレビと近い。1990年代後半から同局の看板番組『24時間テレビ 愛は地球を救う』に同事務所勢が大挙出演するようになり、ほかにも出演番組が多数あるのはご存じの通りである。

日テレのドンと蜜月関係を築いたメリー喜多川

 日テレとの蜜月関係を築き上げたのはメリー氏にほかならない。日テレの中興の祖である氏家齊一郎元会長(2011年に86歳で死去)と昵懇の間柄になることに成功した。読売新聞の経済畑の記者から常務になり、日テレに転じた氏家氏は芸能界関係者と深く付き会うことを好まなかったが、メリー氏だけは別だった。

 氏家氏はメリー氏と何度か会ううち、「彼女はたいしたもんだな」と評価するようになり、ほぼ定期的に会うようになる。メリー氏の亡夫は保守派の論客で作家の藤島泰輔氏(1997年に64歳で死去)。メリー氏は藤島氏並みの知識量を誇ったとされるので、氏家氏が感心しても不思議ではなかった。

 2人が会談を重ねた場所は東京・六本木のメリー氏の自宅マンション。そこで食事をするのだが、メリー氏が手料理を振る舞ったわけではなかった。一流レストランのシェフが招かれ、腕を振るった。