© 2019 Luminary Productions, LLC. All Rights Reserved.

「知らなかったでは決してすまされない話だと思っておりますが、知りませんでした」

 大きな波紋を呼んだジャニーズ事務所社長の藤島ジュリー景子氏の発言。本当に知らなかったのか。知ることを恐れて、あえて知ろうとしなかったのか。

何百人もの実体験をもとにしたハラスメントの数々

 会社という大きなシステムの中で、多くの人が麻痺していく感覚。
映画『アシスタント』で、その恐ろしさを目の当たりにする。2017年、ハリウッドを発端に巻き起こった「#MeToo運動」を題材にした本作。現在、見るとどれもこれもアウトな働く人々の行動に#MeToo以前の私たちがいかに低いコンプライアンス意識の中で、働いていたか、驚かされる。

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 監督はドキュメンタリー映画作家のキティ・グリーン。本作はフィクションであり、ヒロインのジェーンは架空の人物。だが、ジェーンは監督が実際に何百人という労働者にリサーチとインタビューを行って作り上げたキャラクターであり、彼女が経験する一つ一つのハラスメントは全て「現場の証言」だと言える。

 名門大学を卒業したジェーンは、映画プロデューサーになるという夢を抱いて、就活を勝ち抜き、有名エンターテインメント企業に就職した。業界の大物である会長のもと、ジュニア・アシスタントとして働き始めた彼女は、まだ暗いうちから、誰よりも早く出社し、真夜中になっても帰れない。

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