大相撲で活躍する力士たちのおかげで随分と自分たちの生活に浸透しているように感じるモンゴル。相撲のアナウンスで流れる「モンゴル・ウランバートル出身」をいつも何気なく耳にしていたけれど、実際はどんなところなのだろう。よく考えたら、全然、理解していなかったように思う。
「モンゴル」と言えば草原に羊に馬に…
『セールス・ガールの考現学』は今のモンゴルのことが見えてくる新しいタイプのモンゴル映画だ。日本で公開されるモンゴル映画といえば、これまでは青空を流れる白い雲、どこまでも続く大地、羊が草を食み、馬が草原を駆けぬけ……といったものが多かった。
浅野忠信がチンギス・ハーンの波乱に満ちた半生を演じたドイツ・カザフスタン・ロシア・モンゴル合作のそのままズバリ『モンゴル』(07)という映画もあった。やはり、モンゴル=遊牧民のイメージ。
ところが、今回紹介する『セールス・ガールの考現学』の主人公は遊牧民ではなく、普通の女子大生。親に言われるまま疑問を抱かず、将来のために大学で原子力工学を学んでいる真面目な女の子だ。