民放が共同で運営する見逃し無料動画配信サービス「TVer」の再生回数を目にする機会が増えた。「早くも再生数100万回突破」といった具合である。しかし、ここで考えてしまう。再生回数“100万回”にはどんな意味があるのか。
100万回再生でも100万人が観ているわけではない
ビデオリサーチの個人視聴率は関東地区の1%で約42万人。明快である。一方、誤解している人もいるようだが、TVerの再生回数100万回は100万人が観ているわけではない。
完再生率(再生を始めた番組を最後まで観る人の割合)は6割台しかいない。CTV利用者(PlayStationやAmazon Fire TVをテレビにつないでTVerを観る人)の場合、完再生率は71.1%である。
パソコンでTVerを観る人の完再生率は64.9%。SP(スマートフォン)で観る人の場合はぐっと落ち、完再生率は同61.8%に過ぎない(2022年7~9月、TVer調べ)。再生回数100万回といった派手な数字が一人歩きしがちだが、正味の再生回数は60万回台なのだ。
また、再生回数やお気に入り登録数をドラマの人気度に置き換える向きがあるが、これは無理がある。フェアな比較にならない。テレビマンたちの中には疑問や不満を口にしている人も多い。その理由を説明したい。