デンソー 上席執行幹部 CSwO 林田篤氏(撮影:榊水麗)

 40年以上にわたり自動車ソフトウエア開発を手掛けてきたデンソーで、CSwO(チーフ・ソフトウエア・オフィサー)を務める林田篤氏。前編では、同社のソフト開発の歴史と、自動車ソフトウエアの特徴や課題について語ってもらった。後編では、高度化が進む自動車ソフトウエアの開発を支える人材戦略と、自動運転やEVの普及を見据えた今後のモビリティ社会の展望について林田氏に話を聞いた。(後編/全2回)

増え続けるソフトウエア開発、求められる人材とは?

──デンソーはSDV時代を見据えて、ソフトウエア人材の拡充に力を入れていると聞いています。

林田 2023年時点でデンソーグループには協力会社も含めて1万2000人のソフトウエア人財(編集部注:林田氏の発言内はデンソーの表記「人財」を踏襲)がいます。2030年にはソフトウエアの開発量は2023年の3倍になると予測しており、製品に組み込むAIだけでなく、開発プロセスの中でAIを活用することで開発効率を2倍に高め、現在の1.5倍の1万8000人体制でこの開発量に対応する計画です。

デンソーによる業界分析。自動車メーカーも部品メーカーもソフトウエア人材確保に大きな投資を行っている
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──増員については、具体的にはどのような人材を想定しているのでしょうか?