ほかの民放の首脳との会合も主にメリー氏の自宅で行われた。高層階にある高級マンションの1室だったので、居心地は一流レストランより良かったようだ。人目も気にしないで済む。この場でメリー氏は芸能界から政治、経済まで幅広く語った。
氏家氏とメリー氏が健在だったころ、『24時間テレビ』のフィナーレでは2人が会場の東京・日本武道館で並び立つ光景が毎年のように見られた。2004年から嵐の櫻井翔(41)が同局『news zero』のキャスター陣に加わったが、それが決まったのも氏家氏とメリー氏によるトップ会談だった。メリー氏は日テレに深く食い込んだ。
氏家氏とメリー氏との関係が緊密だから、日テレ内でジャニーズ事務所への問題意識が高まるのは難しかった。他局もほぼ同様の構図である。
ジャニーズ事務所を退所したタレントがテレビ局から冷遇されるのはなぜか
一方、SMAP(2016年解散)を育てた功労者でありながら、メリー氏に忌み嫌われて同事務所を追われ、元SMAPの稲垣吾郎(49)、草彅剛(48)、香取慎吾(46)と新芸能プロ・CULENを設立した飯島三智氏(65)は民放から冷遇された。各局がメリー氏の顔色をうかがったのが理由の1つだった。
メリー氏は現場制作者への目配りも抜かりなかった。ジャニーズ勢の出演番組の担当者には高額の中元・歳暮を贈った。20万円以上のオーダースーツのお仕立て券が贈られたこともある。目を剥くような金額だが、ジャニーズ事務所の資産は不動産だけで1000億円は下らないから、どんなに高額の中元・歳暮も贈ったって困らない。
また、そんなことがなくてもジャニーズ事務所のタレントが使えなくなると視聴率が獲りにくいから、各民放は同事務所に関するネガティブな報道に及び腰になった。