禁錮13年以上の刑を受けた英国人スパイ
ザンバゾフ被告の隣人は「彼はインターポール(国際刑事警察機構)のために働いていると話していた。誠実そうに見えた」とデーリー・テレグラフ紙に証言している。だが、やはり一般人とは異なる雰囲気が漂っていたのだろう。この隣人は同紙にこうも語っている。
「引っ越してきて間もなく外にカメラを設置した。他のアンテナとは逆方向に大きな衛星アンテナを設置しようとして近所の人とトラブルになったことがある。黒いBMWを乗り回していた」
思い起こせば、英国とソ連の情報機関は冷戦時代から熾烈なスパイ戦争を繰り広げてきた。一つ間違えば核戦争にエスカレートしかねない緊張感の中、二重スパイのリクルートやハニートラップ(色仕掛け)、暗殺など水面下の駆け引きが行われた。
そしてそれは、KGB(旧ソ連国家保安委員会)出身のウラジーミル・プーチン露大統領が登場してから非情さを増したと言える。
2021年8月、ドイツと英国の警察当局は1300ユーロ(約21万円)を受け取ってロシア情報機関に協力していたとして在ベルリン英国大使館の英国人警備員デービッド・スミス被告をオトリ捜査で逮捕した。プーチンのウクライナ侵攻を支持していたスミス被告は罪を認め、今年2月、英国の裁判所で禁錮13年以上の刑を言い渡された。